2020-04-30 06:43

軽量化に静音化! ボルテ専コン エントリーモデルを改造して快適なプレイ環境を手に入れろ

おうちボルテ用に専コンを買ったけど、ボタンが重い! 改造すればマシになるらしいけどいったいどうすれば? そんなキミに詳しいやり方を先生がやさし~くレクチャーしていくゾッ☆ 廉価版ボルテコンの完全改造マニュアルがここに完成(誇大広告)


最終更新:2020年5月6日 19時


そんなわけで今回は再販が開始されたコナミ公式の廉価版ボルテコントローラー「SOUND VOLTEX CONSOLE -NEMSYS- Entry Model」 の分解方法や、ボタンの軽量化・静音化等の方法を初心者向けに詳しく紹介しよう。

このコントローラーについては発売直後に当サイトでも詳細なレビューを掲載していて、 当時から使用している初期ユーザーは既に自分で何らかの改造・改良を加えてプレイしているだろうから今更解説は不要かもしれない。 ただ現在、コロナウイルスの影響でゲーセンはどこも休業。 ボルテもコナステ版(SDVXクラウド)しか更新されていない状況の中、この機会におうちボルテを始めようと思っている人も多いと思うので 今回はそうした人向けに少しでも参考になればと思い記事を公開した。

分解は自己責任! 保証期間内は普通に使うという選択肢も

はじめにお約束の注意事項として、分解・改造は自己責任で行おう。 説明書にも記載されているはずだが本機には3カ月の保証期間がある。 分解してしまうと故障した場合にコナミのサポートを受けられなくなってしまうので注意しよう。 とりあえず保証が切れるまでは普通に使ってみる、という選択肢があることも忘れないでほしい。

加えて本機はBluetooth機能を内蔵し技適マーク(技術基準適合証明)が付与された機器のため、 許可なく分解・改造して使用すると電波法違反に問われる可能性もあるので、これについても自己責任で行って欲しい。 当サイトでは分解後はBluetooth機能をOFFにして使用し、それでも問題があるとされた場合はBluetooth関連パーツを全て取り外した上で使用することにしている。

またここで紹介するのは2019年8月にリリースされた初回生産分のエントリーコントローラーなので、 再販分とは微妙に仕様が異なる可能性もあるので注意して欲しい。

必要な工具を準備しよう


さて、めんどくさい前置きはこの辺にして、さっそく準備にとりかかろう。 これが必要な工具リストだ。太字のみ必須。それ以外はあれば便利だ。

  1. ツールセットまたはプラスドライバー(大)と六角レンチ(2mm)
  2. ピンセット
  3. カッター
  4. ハサミ


本体の分解にはT10のトルクスドライバー、プラスドライバー、2mmの六角レンチが必要になる。 できれば画像にあるようなツールセットがあると他の用途にも使えて便利で、 このセットの場合、格安品のため精度はそれほど良くはないがこれ1つ公式の専コンのほかDAOコン等の他の機器もメンテできることを確認済だ。 ただ、なければプラスドライバー、2mmの六角レンチだけでも大丈夫。 ドライバーは先端が磁石になっているマグネットタイプがオススメで、精密機器用ではなく少し大きめのものが良いだろう。

本体静音化に使用するのがハサミやカッター、ピンセットだ。最悪ハサミだけでもOK。

材料を用意しよう

続いて材料。工具と一緒に紹介してもよかったのだが、 工具が分解に必ず必要なのに対し、材料はどのような改造を加えるかによって必要なアイテムが違ってくるので一例として別けてご紹介。


今回主に使用する材料は、クッションシート、両面テープ、耐震マットの3点だ。 両面テープは施工がしやすく強力で使いやすいのでラクハリを使っているが、別に普通の両面テープでもOK。 材料は同じ物を使用しなければならないということは一切ないので、自分の身近にある物や準備しやすい物を使って色々工夫してみるのも面白いかもしれない。


その他の使えるかもしれない材料も紹介しておこう。 左上からエアコンパテ、制振材(レジェトレックス)、ゴムシート、クッションテープ、テープ型シーリング材(エプトシーラー)、銅箔テープだ。

100均で入手できるアイテムも多いが、一部はホームセンターやネット通販でないと入手しづらいものもあるかもしれない。



分解手順1 トルクスドライバーで底ブタを開ける


準備が整ったらいよいよ分解にとりかかろう。まずは本体を裏返しにして画像の6ヶ所のトルクスねじ(星型のネジ)を外そう。 これにはT10のトルクスドライバーを使用するが、ない場合は2mmの六角レンチで代用が可能だ。 六角レンチを使う場合はネジがなめて悪くならないように優しく回していこう。

このネジはステンレス製で磁石につかないため、ネジ穴から無理に取り出そうとせず全て緩めてから底ブタごと外したほうがスマートかもしれない。

ちなみに、電池カバーは外さなくても大丈夫だゾッ☆

分解手順2 プライスドライバーで中ブタを外す


底ブタを外したら次は中ブタ! 画像の16ヶ所のネジをプラスドライバーで外していく。 これ以降のネジは全てスチール製なのでマグネットタイプのドライバーなら先端でピックアップすることが可能だ。

次に、アナログデバイス固定用の2ヶ所のネジも外していくが、ここはそのままだとクルクル回るだけなので反対側のつまみ(ノブ)を持ちながら外す必要がある。 アナログデバイスは内部のこの固定用パーツと外側のつまみ(ノブ)の2ヶ所で固定されており、 あらかじめつまみを外していた場合(つまみの取り外しには2mmの六角レンチを使用)はこのパーツは取り外さなくても中ブタを開けることが可能だ。

なおケーブル類は無理に外さなくても大丈夫だ。一か所だけ下の基板とつながっているケーブルがある(画像右下の黒いケーブル)ので、 そこだけ強く引っ張らないように気を付けながら中ブタや基板を外していこう。

分解手順3 プラスドライバーで基板を取り外す


最終ステップ。基板を固定している3ヶ所のネジをプラスドライバーで外していこう。これでやっとボタンの取り外しが可能になるぞッ!

この基板のネジは中ブタを固定しているネジと同じなのでこの2種類は混ぜてしまってもOKだ。 最初に外したトルクスねじとは別けて失くさないようにまとめておこう。


組み直す時は逆の手順でやっていけばOK! 簡単だねッ!

小さなパーツの紛失と組み直し時の付け忘れに注意


というわけで分解・組み立てについては手順通りに丁寧にやっていけばなんてことはないはずだ。が、1つ注意して欲しいのはパーツの紛失だ。 特に中ブタを開ける時に外していくBluetooth用スイッチのカバー、そしてアナログデバイス固定用のパーツに組み込まれているバネなど、 小さな部品もあるので失くさないようにしよう。 また組み直す時にこれらのパーツを付け忘れて終わってからそれに気付くと、また1からやり直しになるのでそれだけは本気で注意しておこう。


俺「なんかパーツ余ってるんだけど、なにこれ……w」

レイシス「 (*ノ´>ω<。`)ノはわわ~~~っ! やり直しデスwwww」

急に現れた謎の太鼓「もう一回遊べるドン!」


重すぎるBTボタンを軽くしよう! ボタンの軽量化方法

無事に分解できたら、ここからが本番! 改造を加えていこう。まず最も重要なポイントはBTボタンの軽量化だ。

BTボタンの軽量化方法は主に2種類。

  1. コンタクトラバーの数を減らす(推奨)
  2. コンタクトラバーに加工を加える

場合によっては1、2を組み合わせる方法もあるだろう。


2のコンタクトラバーの加工する方法は、具体的にはカッター等で画像の赤い部分をカットしてゴムの反発力を弱めるという方法になるが、 これは難易度が高く一度やったら元には戻せない、またコンタクトラバーの寿命を縮めることになるので、残念ながら誰にでもオススメできる方法ではない。

そこで今回は1のコンタクトラバーの数を減らす方法で進めていこう。


BTボタンは1つのボタンに対して4つのコンタクトラバーが付いているので、 これを2つにするだけでボタンの重さを半減させることが可能だ。 それぞれ2つずつ取り外して、あとは元通り組み直していけばOK! ここでのポイントはラバーがしっかりボタンの溝におさまっているのを確認した上で基板を取り付けていくこと。じゃないと逆にボタンが激重になるゾ!

ボタンの軽量化は、基本的にはこれで以上だ。

ここで「えっ? ラバーを抜いた部分に何か入れとかなくて大丈夫なの?」と思う人もいるかもしれない。 確かにコンタクトラバーを抜いたことでそれぞれのボタンが多少ぐらつくようにようになってしまうが、 ここにカットしたクッションシートやゴムシートなどを入れた場合、薄いものではほとんど何の効果もなく、 逆に厚みのあるものを入れるとその部分を押したとき(ボタンの角を押したとき)にボタンが無反応となってしまう。 だからいっそ何もしない方がまし、というわけだ。

なお、どうしてもボタンのぐらつきが気になる! という人向けに、一例として筆者が試した方法も紹介しておこう。


この例ではコンタクトラバーを外した部分に厚さ3mmのゴムシートをカットしたものを貼り付け。 さらにその上に銅箔テープを貼り付けている(ついでにコンタクトラバーの接点部分にも銅箔テープを貼り付けている)。 ゴムシートのカットの仕方など微妙な調整が必要だが、 これによりボタンのぐらつきを抑え、尚且つ角を押したときにも問題なく反応させることができた。 ただ、ここまでやるぐらいならいっそ最初に紹介したコンタクトラバー自体を加工する方法を試した方がバランス良くボタンを軽量化できるかもしれない。

プレイ中の騒音を抑えろ! 本体静音化方法

ボタンの軽量化でだいぶマシにはなったけど、できればもっと快適にプレイしたい。となると次に気になるのは騒音! 次は本体を静音化していこう。

ここでも重要なのがBTボタン。特に気になるのが押したボタンが戻ってきた時の跳ね返り音だろう。 実はこのボタンには最初から側面2ヶ所に黒いクッション材が付いているが、これだけでは不十分だ。 ボタンの四隅の出っ張り(コンタクトラバーを収めているプラスチック部分)が跳ね返り時に本体上部に当たってパカパカパカパカとてもうるさい。


というわけでこのボタンの四隅にクッション材を貼り付けていこう。


ここでは小皿等を梱包する時に使う厚さ1mmのクッションシートを使用。シートに両面テープを貼って適当な大きさにカット。 それをボタン四隅の合計8ヶ所に貼り付けていく。こういった細かい作業にはピンセットがあるととても便利だ。


使用するクッション材は別に何でもかまわないが厚みの目安は1mm以下(それ以上だとボタンのストロークが浅くなってしまう)。個人的な意見としてはスポンジテープでは消音効果は高いが厚みがありすぎ、 逆に薄いゴムシートやゴム手袋をカットしたものなどでは厚みは抑えられるが消音効果が少ないと感じた。 今回は薄さとクッション性(消音効果)を併せ持つ素材としてクッションシートを使用しているが、 もっと良い素材もあるだろうし個人の好みの問題もあるだろう。


続いて簡単で効果が大きい静音化対策。電池ボックス内のバネ封じも行っておこう。 このバネがプレイ中にビーンビーンと振動して結構耳障りなので、 電池を入れてない場合はここにもクッションシートを丸めて入れておくことでその振動音を無くすことができる。

さらなる静音化は……?

ここまでの方法でプレイ中の騒音はある程度抑えられるはずだが、 さらなる対策として材料リストでも紹介したエアコンパテや制振材による本体静音化方法も紹介しておこう。

これはIIDXのコントローラーやボルテの社外品コントローラーの静音化でも使われる手法で、 簡単に言うと本体内部の空いている部分にエアコンパテや制振材などをとにかく貼り付けていく。 これによりプレイ時の本体内部の空洞音などかなり抑えることができる。 ただ、これは元に戻すのが大変で特にレジェトレックス等の制振材は一度貼ったら基本的に剥がせないものもあるので、非常にリスクが高い。 なにより軽さがウリの一つでもあるこのコントローラーに対してはそのメリットを潰してしまうことになるので 残念ながらオススメはできない。どうしてもさらに静音化したい場合でこのコントローラーを使い潰すつもりの人はチャレンジしてみても良いかもしれない。

一例を紹介しておこう。


こちらがエアコン用パテを使った静音化例だ。BTボタンの周囲にエアコンパテを貼り付け。これによりボタンの跳ね返り音を抑えることができた。


ただそうなると今度は逆にボタンを押したときの内部の基板の振動音が気になるように……。 そこで左上画像ようにクッションシートをカットして基盤と中ブタの間に挟めることで振動を抑えることにした。 ここではクッションシート4枚重ねて使用(1~2枚ではほぼ効果なし)しているが、ボタンのストロークがやや浅くなってしまうというデメリットもあり。 FXボタン付近にはあえてクッションは使用していない。

その後、このクッションシートを使用した方法は効果よりもデメリットの方が大きいと感じたため、 最終的には右上画像のように基板の上にもパテを薄く貼り付け、高い静音効果を得ることができた。

仕上げに衝撃吸収パッドを貼って滑り止め

最後に忘れてはいけないのがコントローラー本体の滑り止めだ。 元々このコントローラーには本体底面の8ヶ所にスポンジのような滑り止めが最初から付いているが、正直これだけでは不十分だ。 本体自体とても軽いということもあり、そのまま逆月[MXM]でもプレイしようものならどんどん斜めにズレていって最後には真横を見ながらプレイするハメになるゾッ!


そうならないための対策が地震対策用品としても使われる衝撃吸収パッドだ! 大きめのものを底面4ヶ所~8ヶ所程度付けておけば大丈夫だろう。 また下にゴムシートなどを敷いてプレイするのもオススメ!

自分に合った快適なSDVX環境を作ろう

さて、一通り分解・改造方法を紹介してきたが、いかがだったろうか? 正直このエントリーモデルはやはり廉価版ということもあり、 アーケード筐体と比べてだいぶプレイしづらい部分も多いが 今回紹介したような方法である程度手を加えることでそれなりに使えるようにはなるはずだ。

ここで解説した方法はあくまで一例で、実際にはもっとより良い方法、 自分に合った方法があるかもしれないし、ぞれぞれ色々と試行錯誤してみるのも楽しいかもしれない。 逆に良い方法があったら教えてもらえると助かるかも?

というわけで、みんなでこの機会に自宅のボルテ環境を整えて、快適なおうちボルテライフを送ろう!



ただし改造は自己責任でナッ!



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