2020-11-30 15:44

新基板でおうちボルテに完全対応⁉ DAOコン SVSE5/SVRE9用「SS006」new PCBレビュー

海外ボルテコントローラー・DAOコンの新基板がリリースされた。今回からクラウド版ボルテに標準対応しているとのことだが、実際のところどうなのか? 試してみたので紹介しよう!


おうちボルテ用に変換ツールが必要だったDAOコン

自宅ボルテ用におそらく現在もっとも多く使用されているであろう社外コントローラー・DAOコン。 元々はボルテのクローンゲーム「K-Shoot MANIA」用にDJ DAOが開発。 コナミがPC版サウンドボルテックス(コナステ版ボルテ/ボルテクラウド)のサービスを開始してからはそのコントローラーとしても注目されたが、 入力方式の違いからそのままでは使えずこれまでは変換ツールが必要だった

今回リリースされた新基板(新PCB)はその問題を解決するEAcloudモードを新たに搭載。 既存のDAOコンでも基板を交換することで変換ツール無しでコナステ版ボルテがプレイ可能になり、 また今後新たに出荷されるDAOコンには標準でこの基板が使用されるようだ。

購入はDAOコンの通販サイトから可能で、価格は2980円。 日本語ページがあるので特に説明は不要だと思うが、海外(中国)からの発送となるので到着まで2週間以上は覚悟しておこう。 ちなみに、DAOコンの通販サイトは英語版もあるが、 海外通販に慣れているからといってそちらで注文しようとしてもできない(発送先の国選択画面にJAPANがない)ので注意。 恐らく日本向けとその他で価格等を別けていると思われるが、ここは大人しく日本語ページから注文しておこう。

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というわけで筆者も1つ注文。


そして届いた新基板がこちら。

てっきり基板だけだと思っていたけどケーブルも付属。

ちなみにDAOコンには小型モデルの「SVSE5」と上位モデルの「SVRE9」が存在するが、基板はどちらも同じ物が使用されている。

新旧基板比較


DAOコンのサイトにも掲載されているので不要かもしれないが、新旧比較画像も載せておこう。上が新基板で下が旧基板だ。

赤枠の部分にチップが追加されている以外はほとんど全く同じで、プリントされている基板名も同じ「SS006」。 なぜか新基板がV1.0で旧基板がV1.2となっているが、この辺はあまり考えないほうが良さそうだ。


こちらが新たに追加されたチップ。

基板の交換手順

それでは早速交換していこう。

基板交換なんて難しそう……、と思う人もいるかもしれないけどDAOコンはかなりメンテナンスしやすい構造になっているので大丈夫。 5分で終わるレベルだ。必要な道具は7mmのスパナ(レンチ)1本。

まあ解説するまでもないことかもしれないけど、こういった基本的なことは大事だと思うので一応手順をご紹介。 ちなみにここではSVSE5の例を紹介するけど、SVRE9の場合もほとんど同じ手順になるはずだ。

1 底ブタを開ける


まずはコントローラーを裏返して底ブタ(バックパネル)を開けよう。 DAOコンの底ブタはマグネット式になっているので工具無しで簡単に開けることができる。

2 基板からケーブルを全て外す

次に基板に接続されているケーブルを外していこう。 先に基板を本体から外してしまうとこのケーブルが外しにくくなってしまうので、 本体に固定された状態でケーブルを全て外してしまったほうが良いだろう。


こちらがケーブルを全て外した状態だ。

3 旧基板を取り外す



基板は四隅の六角ナットで固定されているのでこれをスパナ(7mm)で外して旧基板を取り外そう。ここはソケット型のナットドライバーがあると便利だけど、まあ普通のスパナでも大丈夫だろう。

4 新基板を取り付ける


次に新基板を同じ場所に取り付け、先ほど外したナットで固定しよう。

5 ケーブルを元と同じ位置に接続


最後にケーブルを元と同じ位置につないで底ブタを閉めたら完成!

というこで作業自体はとても簡単だが、唯一注意したいのがケーブルをつなぐ場所がわからなくなってしまうことだ。 DAOコンの基板やケーブルにはどこにどれを接続する、といった表示は全く無いのでできれば作業前にスマホで画像を撮影しておいたほうが良いだろう。 とはいえこの記事を読んでいる方にはそれも不要かもしれない(ここ見れば良いしね)。


念のためどのコネクタにどのケーブルを接続すれば良いのか対応図を作っておいたゾッ!

あたりまえのことだけど裏返した時はボタンの位置が左右逆になっているので注意

PC上での動作確認

新基板もつけたし、早速おうちボルテやるでーーー! と言いたいところだが一応PC上で動作確認をしても良いだろう(そんなの不要って人は飛ばしてどうぞ!)。 ここではWindows 10の場合を紹介するがそれ以外でもほとんど同じ手順になるはずだ。

この新基板では「EAcloudモード」「HID&KSMモード」の2つのモードがあり、デフォルトでは「EAcloudモード」になっているが、 この場合これまでと違いキーボード&マウスではなくジョイスティック(純正ボルテコン)として動作する。

まずはUSBケーブルをつないでPCに正常に認識されるかどうかを確認。

コントロールパネル > ハードウェアとサウンド > デバイスとプリンター に「EACLOUD」というアイコンが表示されていればOK。 表示されていない場合はPCの再起動やUSBケーブルの抜き差しを試してみよう。

次に動作確認。

「EACLOUD」アイコンを右クリックして「ゲームコントローラーの設定」をクリック。 画像①の画面が表示されるので「インストール済みゲームコントローラ」に「EACLOUD」が表示されていることを確認し、プロパティをクリック。


すると画像②のテスト画面が表示されるのでここで動作に問題がないか確認しよう。 右つまみを回した時にY軸左つまみを回した時にX軸がスムーズに動けばOK。 今回、新基板でファームウェアが変わっているのでエンコーダーの摩耗が大きいと正常に動作しない場合もあるので、 プレイ中につまみの反応がおかしいと感じた時もこの画面で動作を確認してみよう。 ここで動きが怪しい場合はケーブルの接触不良またはロータリーエンコーダーの故障(摩耗による劣化)が考えられるのでケーブルの確認やコネクタの抜き差しを実施し、 改善しない場合はエンコーダーの交換も検討しよう。

実際に使ってみた感じは?

ではいよいよ本題に入ろう。本当に設定無しでプレイできるのか? 実際に使ってみた感じはどうなのか?

結論から言うと「設定無しでプレイは可能だが完全対応ではない」といった感じだ。

詳しく説明していこう。

まず設定不要の件について。 新基板は出荷時点でボルテクラウド用に設定されていて、本当にただつないだだけでそのままプレイすることができた。 SOUND VOLTEX IIIランチャーのキーコンフィグ設定も不要だ。 これはかなり嬉しい変化で、おうちボルテユーザーならわかると思うけどこれまで自宅でボルテをしようとした場合、 ランチャーを起動してパスワードを入れて、 ピボット機能が付いたディスプレイを使ってる場合は画面を縦にして、さらにDAOコン使用時は予め変換ツールも起動して ……とやたらと事前作業が多く「もうゲーセン行ったほうが早くね?」という感じだったので、 その工程が1つ減るのはやっぱり有難い。

次に動作や操作感について。キーボードとして認識されるコントローラーの場合、 つまみ操作時の移動量が少ないのでアーケード筐体や純正コントローラーと全く同じようにはプレイできなかった。 これについては以前掲載したコナミ純正コントローラー エントリーモデルのレビュー記事でも説明しているし、 たぶんDAOコンを使っている人なら既に知っていることだろう。 今回ジョイスティックとして認識されることでその問題は解決しただろうか?

実際にプレイしてみた感想としては残念ながら「これまでと同じか、一部やや悪い」。

楽曲選択画面でカーソルを移動させたり、プレイ中にギアチェンして確認すると、 確かにキーボードの時とは違った動きだ。 キーボードの場合、最大移動速度に限界があったが新基板ではそれはなくなっている。 つまみを高速で回しまくれば楽曲選択時も素早くスクロールできるし、ギアチェンにも対応は可能だ。 ただ、つまみを1回転だけさせた時の移動量はキーボードと同じかそれ以下で、 総合的にはどちらが良いとも言えない感じだった。

詳しく検証した訳ではないので参考程度に留めて欲しいが、 ハイスピ変更を例に具体的に説明しよう。

まずアーケード筐体または純正コントローラーの場合、つまみ1回転でハイスピ倍率を1.0変更可能。 キーボードの場合はこれが約0.6で、DAOコン新基板の場合は約0.4。 キーボードやDAOコンでギアチェンするには、その分多くつまみを回す必要がある。

これに加えてキーボードの場合はどんなに素早くつまみを回しても1秒間に約1.0しか倍率を変更することができない。 そのためギアチェンの猶予がほとんど無いソフラン曲では(その人の普段のハイスピ設定にもよるが)完全に対応不可。 DAOコン新基板にはその限界はないので、ものすごく早くつまみを回しまくればなんとか対応は可能、となる。

という訳でつまみの動作に関しては少し残念な結果となってしまったが、 これはあくまで筆者が試した環境(SVSE5、801エンコーダ)での結果であって、 これは基板の問題というより、ロータリーエンコーダが原因(性能の限界)の可能性もあるだろう。 少し詳しい話になるので興味のない人は読み飛ばしてもらいたが、 SVSE5に標準で搭載されているアルプス電気の801エンコーダ(EC12E2420801)の分解能(1回転させた時の信号数・パルス数)は24。 アーケード筐体がどうなっているかは不明だが純正エントリーモデルのエンコーダの分解能は40、 しかもそれを4倍に増加(4逓倍)させているので同じようにつまみを1回転させてもSVSE5は純正コントローラーより少ない信号しか送ることができない。 送れる信号数が少ない以上全く同じ動作にはならないし、 これを何らかの設定やプログラム/ファームウェア等で解決するのは困難だ(多いものを少なくすることはできるがその逆は難しい)。 今回の基板からファームウェアのアップグレードをサポートしているとのことだが、 残念ながら今後更新があったとしてもあまり大きな改善は期待できないかもしれない。

SVSE5にはオプションで日本電産コパル電子のエンコーダー(RES20D-50-201-1)も搭載できるがこちらの分解能は50。 さらに上位モデルのSVRE9にはアーケードと同じエンコーダが搭載されているということなので、 それらを使用した場合にはここで上げたような問題は起こらない可能性もあり。 これについてはその保有者からの報告を待ちたいところだが、 当サイトでも検証予定はあるので結果は判り次第お伝えしよう。

2020年12月21日追記:コーパルセットでの検証結果

やはりロータリーエンコーダが原因だったようで、 SVSE5 2020(コーパルセット)で確認したところ上記のような問題は発生せず、 アーケード筐体や純正コントローラーと同じようにスムーズにつまみが動作することがわかった。 今後SVSEを購入する予定の人は標準の801セットではなくコーパルセット(またはアーケードセット/SVSE9)がオススメだ。

DAOコンが新基板になったことでエントリーコンは要らない子に?

新基板になりコナステ版ボルテにも標準対応となったDAOコン「SVSE5/SVRE9」。 変換ツールが不要となり利便性は大きく向上したが、 残念ながら動作についてはこれまでとあまり変わらず(SVSE5、801エンコーダ搭載モデルで筆者の環境で試した場合)完全対応とはならなかった。 ツール不要というメリットはとても大きいのこれまでDAOコンを利用していたユーザは基板交換を検討してみても良いだろう。

一方でもう要らない子になるかと思われたがエントリーコンだが、今のところつまみの操作性に関してはまだアドバンテージはあり。 一応、最安・最軽量であるという点や、発売後1年以上も経つのにいまだに全く使い道のないbluetooth機能wも搭載しており、 なにより「コナミ純正コントローラー」という最大最強のメリットww(コナミにお金が入る→ボルテの開発費になる、なので間違いではない)もあるので、 要らない子になった、とは言えないだろう。

今回DAOコンのアップデートでその優位性は上がり、特に上級者以上には基本的にDAOコンがオススメとは言えそうではあるが それぞれ一長一短ある状況は続いているので、好みや予算等に合わせて選択していきたい。

引き続きボルテ関連の機材等、特に詳細なレビューが求められるものがあればお伝えしていく。



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